「実験から把握する地下水流速」 廃炉地盤工学委員会講習会

 本講習会は、福島第一原子力発電所の廃止措置において、廃炉までの長期間にわたる地下水環境・作業環境の状況調査及び将来予測を行うために、原子力技術者と協働できる新しい地盤工学技術者の育成プログラムとして企画されたものである。
 地盤工学において、地下水は一般には流量が問題となることが多いため、ダルシーの法則に従った地下水解析を教えている。この方法は、地盤を多孔質媒体と仮定し、全断面でどれだけの流量があるかを算定するため、透水係数という地盤パラメータでその特性を表現したものである。しかし、実現象として地下水は土粒子の間隙を縫うように流れるため、透水係数から算定された流速(=ダルシー流速)より、実際の流速(=実流速)は速くなる。また、流速には地盤の間隙率(有効間隙率)や動水勾配も影響すると考えられる。従って、地下水による汚染物質(放射性物質等)の拡大を把握するためには、この実流速についての理解が重要となる。
 本講習会では、研究で製作した実験土層を用いて、動水勾配の条件を変化させた実験によりダルシー流速を求め、事前に理論的(解析的)に導かれた流速とを比較した。また、実験土層内のの任意の点に設置した流向流速計による流速の測定、トレーサー試験からの流速の算定、及び実験的に求めた人工地盤の有効間隙率からの実流速の推定を行い、これらの結果を比較検討することで、理論と実験の両面から地下水流速とは何かについて学習した。

■日時 :2016年3月29日(火)14:00~17:30
■場所 :千葉工業大学(津田沼キャンパス)土質実験室
■参加人数 :49名(うち、学生18名)